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2018-09-27 13:44:47
【泣ける住宅購入】お客様に寄り添える営業に私はなりたい
入社から半年の間にいくつもの契約を成立させた売れる新人営業。
周囲の注目を集めたが、その後はまったく売れない営業に。
自らを省みてスランプから抜け出そうと考えた行動が少しずつ身を結びはじめた営業のお話




“不動産営業って、こんなものか!”

入社して半年。異業種から転職してきた私は、すぐにいくつかの契約をまとめ上げ営業として結果を残した。“売れる新人が入ってきた!”と周囲が注目していることも何となく意識していたし、それが自信にもつながっていた。

しかし、それは高を括っていたに過ぎなかったことに気付かされた。順調過ぎる半年を過ぎたあたりから、契約がまったく取れない営業になってしまった。

入社当時を振り返ると、誰が担当しても物件を買っていただけるお客様に運良く出会い、上司や先輩に言われるがまま動いていただけだった。現地販売会場の設営や資料の用意など、すべてが新人社員の私のために整えられた環境で、イチから準備に携わることなく、教えてもらうこともなかった。

“これまでの半年は何だったのか・・・。”

半年間を省みて、経験で得たものや学んだものがまったく身についていなかったことに気付き、私は営業としての自信を喪失した。お客様との接触さえ怖くなり、仕事から逃げたくなることもあった。そんなある日、物件の問い合わせが入り、そのお客様を私が担当することになった。



注文住宅が建てられる未公開物件に興味を示したお客様は、かわいらしい乳幼児を抱きかかえて約束の時間の5分前にご来店された。うまくいかないときはなんでもネガティブに想像してしまうもので、今までぐずったり泣き出してしまったりして打ち合わせや見学を途中で切り上げたお客様を何度も見てきた私は、同じことが繰り返されるのではないかと少し心配になった。

「今日はとってもいい子ですよ。ここまでおとなしいのは珍しいですね。」

奥様から掛けられたそんな会話が私の緊張を和らげ、私とお客様の距離を近付けるきっかけにもなった。私の心配をよそに、ときおりニコニコと笑みを浮かべる赤ちゃんに私は救われたのかもしれない。


最初から購入意欲の高かったお客様ということもあり、現地の案内を終えてお店に戻る途中、後部座席で交わされたご夫婦の会話から久しぶりに契約を取れるという確信を得た。その思い通り、翌日に契約をいただくことができた。

とても嬉しかったが、誰が担当しても物件を買っていただけるお客様であり、このままでは以前の私と何ら変わらない。営業として成長するために、新人営業の自分が今できることを行動で示そうと決意した。



“売りっぱなしではなくお客様へ密に連絡を入れて、引き渡しまではもちろん、その後も積極的にサポートしていこう!”
“お客様と人間関係をしっかり構築できる営業になろう!”

それが私の出した答えだった。仲介営業なので契約後は売主様に任せた方がいいという教えもあったが、お客様に寄り添い細かいケアのできる頼られる営業になることを私は志した。

定期的に連絡を取っていると工務店との打ち合わせが順調に進んでいることやお客様の不安なども伝わってきた。

「地鎮祭の日取りが決まりました。」

そんな連絡が寄せられ、私はそれに出席してみようと思い先輩に相談すると“本気で!?”と首を傾げられた。私は先輩が首を傾げた意味がわからいまま、近所の酒屋でお供え物を購入して地鎮祭に向かった。お客様はもちろん、お世話になっている工務店さんの見覚えある方も何名か出席していたが、軽く挨拶や会話を交わす程度で式を終えるとすぐに次の仕事へと向かった。



先輩が首を傾げた意味がわかったのは、地鎮祭の翌日だった。誰かとの電話を終えた上司が私に声を掛けてきた。

「昨日、地鎮祭に出たんだって?仲介の営業が地鎮祭に参加したのは初めてだって、工務店さんが褒めてたよ。」

嬉しかった。人づてに聞いたことが、お世辞ではなく、きちんと評価されているような気がした。

“自分の行動は間違っていなかったんだ・・・。”

ちょっぴり営業として成長できたような気がして、失っていた自信を少しだけ取り戻した。


もうひとつの自分で考えた行動


お客様のために自分で考えて行動していることが、もうひとつあった。それは、地鎮祭からはじめた物件の写真撮影だ。工事の進捗を追いかけ、引き渡しまで撮り続ける。そして、撮りためた写真でアルバムを作り、お客様にプレゼントしようと思っている。

“どんな気持ちで受け取ってもらえるだろうか・・・。”

そんなことを考えながら、次の契約に向けて日々の営業活動に勤しんでいる。