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2018-07-05 14:25:42
【泣ける住宅購入】ホームエレベーターへのこだわりと叶わなかった二世帯住宅
2区画の土地に1棟の大きな家。
叶わなかったお客様の要望には、大切な人への思いが込められていた。
義理堅いお客様と信頼を勝ち得た営業のお話




新人の頃、2棟並ぶ物件を担当した。周囲は住宅が密集し、新築住宅のほとんどが3階建てだ。そんな環境の中に、ぽっかりと大きく空いた2区画の更地に、それぞれドンと大きく構える2階建て住宅の建築が予定されていた。

物件近くの自宅兼仕事場で事業を営む男性から電話が入った。

「えっ、ふたつ?お客様、2区画とも購入されるんですか?」

私が聞き間違えたのか、お客様が言葉を間違えたのかと思い問い返した。しかし、それは間違いではなく、今すぐ会って話をしたいというお客様の要望で、電話を切るとすぐに現地へ向かった。

やや遅れて現地にやってきたお客様は、基礎工事が済んだばかりの2区画を一見すると購入の意思を示した。

「ふたつでいくらになる?」

私が完成イメージや間取りを伝える前、会って間もないタイミングだった。しかし、お客様には即断する理由と2区画欲しい訳があり、詳しく伺うため近所のコーヒーショップへ向かった。


古い家屋を取り壊している時から目を付けていたというお客様は、私がお客様に説明すべき物件の魅力や特徴を見事にとらえていた。

「場所、土地、広さ、すべてがいい。このあたりでは出ないよね。」

そう評価したお客様は投資用の不動産をいくつか所有しており、その分析力と経験が即断できる理由だった。

この2区画を購入検討していることを奥さんに話したら、“もうやめて!”と言われてしまったと目尻が下がった。お客様は照れ臭そうにコーヒーへ手を伸ばすと、2区画欲しい訳を話しはじめた。

「投資じゃなく、お義母さんと住むため。」

ご自宅から2時間ほど離れた街にひとりで住むお義母さんは、足が不自由で生活に支障をきたしているという。そんなお義母さんのもとへ頻繁に行き来する奥様の苦労も相当なもので、お義母さんと一緒に生活するための大きな二世帯住宅を2区画分使って建てたいという思いが強くなり、看板に記した私の連絡先に電話してきたのだった。

残念ながら、すでに着工が始まっていたこともありそれは叶えられない要望だった。ならば2軒の間に通路を設けたいと執拗にこだわったが、建築許可が下りたものと違うものになってしまうため断念していただいた。
それほど、お義母さんへの気遣いと奥さんを苦労から解放してあげたいという思いが強かったのだろう。
すべての条件が揃った物件を逃すまいと、すぐに申し込みの手続きに入ったお客様からは家族へのとても深い愛情が感じられた。



契約を終えると、お客様からお義母さんを迎え入れるに相応しい家へ改築したいと相談があった。手すり、段差、滑りにくい床材など、いくつかの要望があった。その中にホームエレベーターの設置があった。

もっとも大掛かりになるホームエレベーターの設置は簡単ではなかったが、お客様の思いが伝わり売主様も設計士も快く引き受けてくれた。計算されて完成した設計に修正を加えることは容易ではない。それにもかかわらず、日常生活での利便性を考慮した場所に配置されたホームエレベーターは、最初から決まっていたかのようにインテリアに馴染み、付け加えられた違和感を微塵も感じさせなかった。最終確認でその出来栄えを“自分の思いがカタチになった”とお客様はとても喜んでいた。


引き渡しの日、奥様の横で杖をつくお義母さんに会った。
新居を前にしたお義母さんは、玄関前まで来ると歩みを止めた。一点を見つめてぼーっとするお義母さんを家の中へと促したのはご主人だった。

「すごいね。ありがたいね。もったいない。」

その言葉だけを繰り返すお義母さんには、ありがたさ、申し訳なさ、今までとこれからの生活など、いろんな思いが複雑に絡み合い誰も推し量れない感慨が巡っていたのだろう。

「お義母さん、これなら安心でしょ。」

ご主人はホームエレベーターに誘った。家の中にエレベーターがあることに驚いたお義母さんは、奥様とホームエレベーターに乗り込むと恐る恐るボタンに触れた。
すーっと静かにドアが閉まった次の瞬間、お義母さんの表情が驚きから笑顔へと変わり、見上げながら会話するふたりは2階へ昇っていった。私は玄関先から眺めたそのシーンが今も忘れられない。


信頼を勝ち得た良好な関係


新人営業の私が嬉しかったのは、お客様に喜んでいただけたことだけではなかった。

“内装に手を加えたい”
“ガレージをかっこよくしたい”
“友だちが物件を探している”

引き渡し後もお客様から寄せられる要望に、すぐに考え行動に移して答えを導き出した。
それは、営業として試され、評価されていることを実感させた。そしてまた要望が来る。
それは、お客様から信用され、信頼されている証だ。この義理堅いお客様との良好な関係は今も続いている。